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くれたんですね。
せっかく「創り人」が一生懸命つくっているものに対して、もっともっと「楽しみ人」にそれを普及するためのお世話焼きというのが今必要なんですね。私は、北海道でもこれが今一番重要な文化上の問題だろうと思っております。東北の方はいかがでございましょうか。そんなことで、「アートマネージメントとは?」というものをわかりやすく考えれば、そういうことになろうかと思うわけでございます。
また、雪の美術館というのが旭川にあるわけでございますが、ちょうどきょう雪が降りましたが、これを逆手にとって、それを美しく、美術館という1つの文化産業に取り込みまして、大体年間30万人来るんですね。もう産業として立派に成立しております。だから、ここでは木内綾さんという、ユーカラ織という独自な織物をつくっている方と、その息子さんの木内和博さんというお2人の方が、すご腕のアートマネージャーとして「創り人」と多くの方々をつなぐアートマネージメントの仕事をしていらっしゃるわけでございます。そんなことで、アートとは何かと考えてまいりますと、決してそれは舞台芸術だけじゃなくて、芸術の全般にわたってあるわけでございまして、その中の1つが舞台芸術ということになるわけでございます。
アメリカのサンフランシスコに、インターセクション・フォー・ズィ・アーツというところがありまして、これは1965年にできたのでございますけれども、アメリカにおけるオルタナティブスペースというか、自由空間、芸術家に自由に使ってもらう、そういうスペースの代表的なものの1つでございますが、ここでのジャンルは、舞台芸術、美術、文芸なんですね。ですから、「アーツ」と言っているんですね。「アート」じゃなくて「アーツ」、つまり複数なんですね。200席の小ホールを持っているんですが、詩の朗読会だとか、小説家の座談会だとか、そういうことも含めてやっております。そんなことですから、このアートマネージメントの「アート」というのを、まず「アーツ」というふうに考えていくことが大変大事ではないかと思います。
じゃ、その芸術とは何か。レジュメに書いてございますとおり、「さまざまな素材や想念やイメージなどを自分なりの独創的な技法や様式を用いて、造形芸術、表情芸術、音の芸術、言語芸術などに形象化することによって、深く精神的な美の感動を人々に与える、きわめて創造的な表現活動であり、人間としての最高水準の価値をうみだす文化行為である」ということでございます。したがいまして、皆様方の携わっていらっしゃるホールもまた、人間としての最高水準の価値を生み出す、そういう文化行為の場であるわけでござ

 

 

 

 

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